弁護士の事件簿・コラム
平成26年度神奈川県包括外部監査について
弁護士 井上 泰
昨年の4月から平成26年度の神奈川県の「包括外部監査補助者」に就任し、活動してまいりました。
「包括外部監査」とは、従来からある地方公共団体に属する監査委員による内部監査とは別に、地方公共団体とは独立した第三者によって、地方公共団体の組織やその業務等について住民、市民目線で監査するという制度です。外部監査は地方公共団体の財務に関する事務の執行について適法性および3E監査(有効性、効率性、経済性)の視点から監査を行うことによって、税金を財源とする予算の不適正執行の是正とその再発防止や地方公共団体に対する住民の信頼を回復、向上する役割を担っています。
外部監査は会計年度毎に弁護士、公認会計士等の外部専門家との間での個別の契約に基づいて行われ、そのテーマは外部監査人が主体となって選択することになっています。
平成26年の監査テーマは「神奈川県警察における警察費の執行状況及び財政援助団体等(公益財団法人神奈川県交通安全協会等)」について選択し外部監査を行いました。
橋本吉行包括外部監査人とその補助者あわせて総勢9人(弁護士6名、公認会計士3名)でチームを作り、一丸となって監査事務にあたりました。
現地調査や実際の資料にあたりそれぞれの専門家としての意見をたたかわせながら約8ヶ月間、その職務にあたり、その監査結果について平成27年1月16日に県知事や監査委員、県議会議長、公安委員会に対して報告書を提出いたしました。
監査結果報告書は神奈川県のホームページに掲載されています。
http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f6643/
平成12年からの「警察改革」の発端となった神奈川県において、いかなる想いに基づいて監査テーマを決めたのか、そしてその外部監査結果として、指摘事項(規則や規定などに違反しているか、著しく適切さを欠くと判断したもの)13項目、意見(組織及運営の合理化から改善が望まれると判断したもの)51項目が掲載されています。
なお、監査の結果に関する報告の提出を受けた議会、知事などはその結果に基づき、またはそれを参考として措置を講じたときは、その旨を監査委員に通知し、これを公開することになっています。例年監査を受けた翌年度には監査結果に対する措置等が発表されており、平成26年度の監査結果を踏まえてどのような措置が行われたのかをしっかりフォローしていこうと考えています。
- « 前の記事 2年目に入った福島第一原発・損害賠償訴訟
- » 次の記事 不在者財産管理人の仕事について